人生の四季に、あなたは・・・。(その2)

こころのアンチエイジング



開放的でエネルギー溢れるこの夏も、いつまでも続くことはありません。
夏一色に覆われているこの世界も、やがて、秋を迎えることになります。
そして、人生の冬は間違いなくやってくるのです。





人工的なニセモノの美に慣らされたわたしたちには、ぬけるように澄んだ青いキャンパスに彩られる紅葉がこころに沁みるようで、哀愁を誘います。
強かった陽射しは遠ざかり、秋も深まりきびしい冬の気配が直ぐそこまでやってきます。
同時に、傷み始めた己の身体に哀れみと、もう少し頑張ってくれ・・・、という労いをこめながら、ため息をつく。



「確実に、今年もまたひとつ歳をとったようだ」



そして、かすかな余韻にひたりながら、やがて身体(肉体)は母なる大地へと帰っていくのです。




巷ではアンチエイジング(抗年齢・抗老化)とやらがもてはやされている。引力に従順な贅肉は、身体のシルエットを無造作に崩し、皺は縦横無尽にはしり、皮膚の表面に浮きでた老廃物は模様となって現れる。



歳だから・・・。と、慰めてみるものの、できることなら誰でも若さを取り戻し、長生きしたいもののようだ。



生まれた故郷の川へ遡上する鮭のごとく、時(流れ)に逆らい、若さと美を競い実年齢より若く見せるために、すっかり化けたご婦人からはフェイクの匂いがぷんぷん漂う。
もちろん、わたしたちの身体は古くなるにつれメンテナンスは必要です。体力の低下を遅らせるための運動も欠かせません。
でも、朽ちていく身体に必要以上の思い入れは、その先にある生命の本質をますます遠ざけているのです。まるで、この世がすべてかのように・・・。



この世界では、目に見える物質は例外なく朽ちていきます。見えるものは一時的であり、見えないものはいつまでも続くのです。



朽ちる物にではなく、朽ちない物にこそ真理があり、未来の希望をおく価値があるのではないでしょうか。



そうでないとすると、「人は死ぬために生まれてきた」という不条理に答えを見出すことはできません。



身体はどんなに錆びついても、こころ(魂)はアンチエイジング。いや、身体とは反比例して、ますます若くなっていくのです。



そこに、人が生まれてきた本当の理由があるのです。



→次回へ続く。