見える世界。見えない世界。

この時期に、一年に一度だけ苦しみから解放され、先祖の霊が帰ってくるという。


盂蘭盆会(うらぼんえ)」といい、7月や8月の13日から16日の期間に帰ってくる
霊を迎え、そしてまた無事に送り返す。らしい・・・。


古くから日本ではそう伝えられ、行われてきた法要である。
忘れかけているあの世(見えない世界)と、この世(物質の世界)を考えさせられる時期
でもある。






光と闇

今年も「原爆の日」がやってきた。


1945年8月6日、広島に投下されたリトルボーイ(ちびっこ)と呼ばれるウラニウム
爆弾(原爆)で、22万人以上の犠牲者をだした。


3日後の9日には、より強力なファットマン(でぶ)という名を付けられたプルトニウム
爆弾が長崎の街に死の灰を降らした。


ただ、無差別に大量の罪のない命を奪うために。


原爆につけられた「ちびっこ」や「でぶ」というコードネームから、製造に携わっていた人間の
異常な心理と、投下後の地獄の風景を創造する回路を断ち切ろうとしていたことがみてとれる。


原爆の父と称された物理学者のR・オッペンハイマーは、「いま私は死神となった。世の中の
破壊者だ」という、心の声をきいたそうだ。


ここに働く、人間を狂気に駆り立てる闇の力を浮かび上がらせた。


人類の愚行は、歴史から決して消すことはできない。


人類には他人の命を奪う権利など与えられていないにもかかわらず。


深く残った傷跡は、心に痛みを覚えさせるのに十分だ。







やがて、分断されている二つの世界(見える世界と見えない世界)は、肉体から離れたとき
に完全にひとつとなって現れる。


そこに、平安と希望を見出すことができれば、人命の尊さや存在価値を感じ取ることができる
のだろうに・・・。