じいさん VS 居候ねずみ

数日間、じいさんからの電話が鳴らないなのでどうしているのかな、と思っていたら・・・。


「ねっ、ねずみが、しゃもじをひいていったんだ!!」電話の向こうで何やら興奮しているようす。


「どうしたの、何があったの」すぐにはじいさんの言葉が理解できずに聞き返すと、


「ねずみの奴が、しゃもじを引いていっちまったんだ。」



じいさん邸は裏に3畳ほどの炊事小屋があり、そこに置いてあった“しゃもじ”を、ねずみが引きずってどこかに持っていってしまった。ということらしい。


とにかく、しゃもじがなければご飯をよそることができないので帰りに寄ることに。


それから2週間くらい経ったころに「またしゃもじがねぇんだー。ねずみなんだ・・・。」との電話があり、「どこかに置き忘れじゃないのー」と思いながらも100円ショップで調達して持って行きました。


「Tちゃんさー、今度は炊飯器に紐で結わっておけばいいよ。持っていかれないから」とアドバイス。本心は、じいさんが失くさないように思ってのことでした。


そんなやりとりがあったことも忘れていた先日に、携帯電話が鳴り画面にはじいさんの名前が・・・。


「また、ねずみが引いていったんだ・・・。」


「えっ、またー。」


「だけんど、紐でくくっておいたから持っていかれなかったんだ。」


「あ、それは良かったねー。」と、言い終わる前に、


「うん。・・・・じゃー。」と言ってすぐに電話を切るのでした。


うーん、何だったんでしょう・・・。きっと、報告をしてくれたんでしょう。つまらないことでも、話をしたかったのでしょう。人はひとりでは生きていけないのですから。


もし、あなたがたがわたしの戒めを守るなら、あなたがたはわたしの愛にとどまるのです。それは、わたしがわたしの父の戒めを守って、わたしの父の愛の中にとどまっているのと同じです。」「わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合うこと、これが私の戒めです。」(ヨハネ15:10、12)