高橋まゆみさんの人形「シワの増えた天使たち」

    頑固じいさんが、


    両手で抱えた湯飲み越しにポツリと、


    「ありがとう・・・」。


    台所では、湯気の向こうで背中をまるめてばあさんが、トントンと腕を振る。


    朝陽でかすむばあさんは、また一回り縮んだよう


    どれくらいの時間が過ぎ去ったのだろうか・・・。


    何もかわらないこの風景・・・。


    そういえば、ばあさんの怒った顔を見たことがあったっけ・・・。


    いつも三歩後ろを笑顔でついて来る。


    「ありがとう・・・」。


    朝陽が映す今は亡きばあさんに、頭を下げた。


    「天国で、また笑っておくれ」


        ※高橋まゆみさんの人形をイメージして、勝手に詩をつくってみました。





涙と笑いの分だけシワが刻まれている天使たち。


高橋まゆみさんの人形
http://www.1-light.com/dollart.htm