本当の敵を知る


聖書は人類の歴史を見せています。まさに私たちは、その歴史を忠実になぞって
生きているのが判ります。


日本ではほとんど報道されない(どうしようもないことばかり垂れ流しているメデ
ィア)中東諸国の問題も、聖書の歴史(神の計画)を理解しなければ、ただの対岸
の火事でしかないでしょう。


ある本を読む機会がありました。タイトルは「ハマスの息子」(幻冬舎刊)と言い、ハ
マス(イスラム教の抵抗勢力)の創始者であり指導者の一人の息子であるモサブ・
ハッサン・ユーセフによって書かれた、生々しい実話です。


彼はイスラム教徒として生き、またハマスの一員としても憎悪と流血の中を生きた
青年です。しかしあるとき、血による報復の連鎖からは何も生まれないことに気づ
き、敵であるイスラエルのシン・ベット(イスラエルFBIのような機関)でスパイ
として働く道を選びました。これは、これ以上テロによって無駄な死人を出さない
ために未然に防ぐ情報を流すためです。


熱心なイスラム教徒であった彼は、あるとき聖書と出会いました。そこにはイスラム
の教えにない「『自分の隣人を愛し、自分の敵を憎め。』と言われたのを、あなたがた
は聞いています。しかし、わたしはあなた方がたに言います。自分の敵を愛し、迫害
する者のために祈りなさい。それでこそ、天におられるあなたがたの父の子どもにな
れるのです。天の父は、悪い人にも良い人にも太陽を上らせ、正しい人にも正しく
ない人にも雨を降らせてくださるからです。
」(マタイ5:43〜45)とありました。


この聖句を読んだとき、「これこそが今までの人生でずっと私が求め続けていた言葉
だった」と衝撃を受けたそうです。


また彼の言葉をそのまま引用すると、「ここ数年、私の敵は誰なのかを知ろうとしても
がいてきた。イスラム教とパレスチナの外に敵を探していたのだ。しかし突如として悟
った。イスラエル人は私の敵ではない、と。ハマスも、叔父のイブラヒムも、M16
銃床で私を殴った連中も、拘置所にいた猿のような看守も敵ではない。敵は国籍や、
宗教、肌の色で決まるのではない。私たちすべての人に共通する敵が存在するのだ。
強欲、傲慢、そして悪意と悪魔の支配するこころの闇である。」


今、私たちの国でも、領土問題で大きく揺れています。中国や韓国、そして日本の主張
は平行線をたどり、両者の欲が最高潮になった時、血が流されるのです。


人の罪とは、常に「自分を基準で考える」ことであり、まるで「自分が神にでもなったかの
ようにふるまう」ことです。簡単に人を裁きあるときは陥れ、こうして本当の主権者である
神を引き下ろし、神の基準から離れ去って行った人間社会には明るい未来はありません。


人間はまるで憎しみを糧にして生きているように思われます。そんな愛をなくした世の中
に向かってイエス・キリストは「愛」の必要性を説いているのです。


なぜなら、この憎悪が生み出す流血や奪い合い、負の連鎖をとめる唯一のものは対極に
ある「愛」しかない
からです。



こういうわけで、いつまでも残るものは信仰と希望と愛です。その中で一番すぐれて
いるのは愛です。
」(Ⅰコリント13:13)